3次元データを駆使した情報化施工やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用を推進してきた国土交通省は、2015年度からこれらを統合して建設現場の生産性を向上させるため「I-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを始めた。
I-Constructionは、建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、管理に至る全てのプロセスにおいて、情報化(ICT活用)を前提とした新基準を導入し技能労働者一人当たりの生産性を5割アップさせることが目的である。
I-Constructionでは、過去30年間、生産性があまり改善されていない土工とコンクリート工をまずはターゲットとして生産性向上を狙う。土工では測量から設計、施工計画、施工、そして完成検査という一連の流れを3Dデータによって効率的に行うことを目指している。
●ここから始まったI-Construction
「アイ・コンストラクション」で建設生産革命 日刊建設通信新聞 15.11.25
石井国土交通大臣閣議後の会見 11/24
■アイ・コントラクションの三本柱
・土工におけるICTの全面的な活用
全プロセスにおいて、情報化を前提とした新基準を2016年度から導入
・コンクリート工における規格の標準化
・施工時期の平準化
「全体として技能労働者一人当たりの生産性を将来的には5割向上させられる可能性がある。」
●こんな問題があるからI-Construction
「アイ・コンストラクション」で建設生産革命 日刊建設通信新聞 15.11.25
■建設業界が抱える問題
I-Constructionへの新たな取り組みを発動させた背景には「土木業界が抱える問題」があるからだ。バブル崩壊まで膨れ上がった土木業界は、その後の社会情勢に反し「人がやれることは出来るだけ人で行う」という考えのもと一貫した労働力の過剰を抱え、他業界のような機械化、省力化が見送られてきたことによる『生産性の低迷』が蔓延。同じ業界でもダムやトンネルなどでは様々な技術を取り入れ生産性を上げてきていた、土工・コンクリート工では新たな技術の取り組みを怠ってきたことにより『生産性の向上』の遅れがあきらかに目立っている。また、他産業に比べて圧倒的に多い事故『危険な建設現場』更には、どの業界でも例外ではない人工減少による『労働力不足の懸念』がある。
I-constructionが目指すものは…
①一人一人の生産性の向上≠ 企業経営の改善
②企業経営環境の向上≠ 建設現場に関わる人の賃金水準向上
③安全性の飛躍的な工場≠ 脱3K ≠ 『魅力的な業界』
●I-Constructionフル活用工事は…
ICT技術の全面的活用工事(従来工法とI-Con工法比較)
●ICT活用工事【土木】の実施方針(国)
※関東地方整備局の場合。地方整備局により異なる場合がある
●ICT活用工事【土木】の実施方針(地方自治体)
■滋賀県の場合
土木交通部建設工事等における総合評価方式の運用ガイドライン 平成29年 4月 滋賀県土木交通部管理課技術管理室
i-Constructionへの取組(適用:標準型Ⅱ型A、簡易型A、特別簡易型A)
県内建設産業の生産性向上と、希望と魅力ある業界づくりを推進するため「i-Constructionへの取組」について評価を行う。次のとおりタイプ毎に加算点を与える。
タイプ① 土木一式 | 1号工事で、土工量10,000㎥以上のもの |
---|---|
タイプ② 土木一式 | 1号工事で、土工量5,000㎥以上、10,000㎥未満のもの |
タイプ③ 土木一式 | 1号工事で、土工量5,000㎥未満のうち、発注機関が選定した工事 ※土工量は、土木工事標準積算基準における掘削・路体(築堤)盛土・路床盛土を対象とし、工事全体での合計量とする。 ※タイプ③の選定は、3次元モデルが活用できる工事(大型構造物、支障、近接物件との協議が必要)の一部に適用。 |
なお、評価点を与えた場合において、受注者の責めに帰すことにより履行が確認できなかった場合は、工事成績において減点措置を行う。
タイプ①
区分(i-Constructionへの取組) | 評価点 |
---|---|
ICTの活用なし | 0 |
ICT建設機械による施工等※1 | 0.5 |
ICTの全面的活用※2 | 1.0 |
※1 | A:MG/MCのブルドーザおよびバックホウ(2Dを除く)によるICT建設機械施工 B:TS/GNSSを用いた締固め品質管理を対象とする |
---|---|
※2 | C:3次元起工測量、D:3次元設計データ作成、E:ICT建設機械による施工、F:3次元出来形管理等の施工管理、G:3次元データの納品を全てを行うこと |
※3 | 当該取組のうち、A・C・D・Eにかかる経費は変更設計の対象とする。(B・F・Gについては間接費に含まれることから別途計上はしない) |
タイプ②
区分(i-Constructionへの取組) | 評価点 |
---|---|
ICTの活用なし | 0 |
ICT建設機械による施工等※1 | 1.0 |
※1 | A:MG/MCのブルドーザおよびバックホウ(2Dを除く)によるICT建設機械施工 B:TS/GNSSを用いた締固め品質管理を対象とする |
---|---|
※2 | 当該取組のうち、Aにかかる経費は変更設計の対象とする。(Bについては間接費に含まれることから別途計上はしない) |
タイプ③
区分(i-Constructionへの取組) | 評価点 |
---|---|
ICTの活用なし | 0 |
3次元モデルの部分的活用※1 | 1.0 |
※1 | 安全管理・施工管理・工事説明など、工事にかかるいずれかの段階で、3次元モデルを作成し活用すること。 |
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※2 | 当該取組にかかる経費は、変更設計の対象としない。 |
●I-constructionの新たな技術①
※関東地方整備局の場合。地方整備局により異なる場合がある
i-Constructionの3本の柱
●ドローンの種類
ドローンにも目的に応じた種類が存在する。スピードや操作技術を競うもの、撮影を主な目的としたもの、「観測」や「測量」を目的としたもの。
それぞれには 使用に沿った「機能」と「特徴」がある。例えば、ホビー向けは、プロペラの枚数も最低限な為、軽量で風の影響は非常に受けやすいものとなる。要するに安定した飛行を望むのは酷だということ。一方、業務向けは 安定した飛行を確保するため 複数枚のプロペラで運用される。将来レーザースキャナー等も搭載できる仕様のための 耐えうる筐体を持っている。
写真撮影から、3次元データ(点群)化までの大まかな流れ。
●ドローン測量のワークフロー
写真撮影から、3次元データ(点群)化まで の大まかな流れ。
作業計画
踏査・選点
評定点設置
フライトプラン作成
フライト
解析処理
●施工計画書(起工測量)
国土地理院では、工事測量にも活用可能な「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」を整備している。
改正航空法
「無人航空機」を明確に位置づけ、飛行できる空域と飛行方法を制限。(平成27年9月11日公布、12月19日施工)
■航空法改正の概要
・国土交通大臣の許可が必要な空域
■国土交通大臣の承認が必要な飛行方法
空港周辺
国土交通省(航空局)のwebサイト
人口集中地区
地理院地区
■無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査容量
所定の様式に記載し、空港事務所または航空局担当窓口に提出
●I-constructionの新たな技術②
i-Constructionの3本の柱
●3Dレーザースキャナの使用用途
建築+建設
自動車部品・設計
高速道路
鉱山+トンネル
食品工場
文化遺産/遺跡
犯罪+事故検証
造船
原子力発電所
石油プラント
設備管理
森林/地形測量
●土工・舗装工
■I-constructionワークフロー
●3次元計測技術における 起工測量の成果品
■成果品は、以下の構成で作成されます。